来月11月1日には、Web書道作品展が更新をむかえます。
一年間インターネットを通じて、書道作品を展示し、何度か、閲覧された方もされていない方も、更新されると一度は、目にすると思います。
その際、ご自身の作品だけでなく、他の方の作品にも目をむけることになると思います。
これは、何と書いてあるのだろうか・・・。
書道の作品は、どうしても字が書かれているので、真っ先に、書いてある字を読みたいと思うでしょう。
何がどのように書かれているのかが気になるのも無理はありません。
書写の作品は、それだけでも楽しく観ることができると思いますが、大人の作品の中には、読めない文字が書かれていることが少なくありません。
また、書かれている文字が判読できても、その書かれている文字の意味を理解することは、簡単ではありません。通常、書道作品として書かれている文字は、漢字作品の場合、漢詩や漢文であり、かな書道の場合、和歌などの古文であることが多いからです。これを読んで理解するには、書道とは別の知識教養を必要とするからです。
もっとわかりたい、書いてあるものを理解したいのなら、書道として書くだけのお稽古では、足りません。古文や漢文を読むための学習が必要です。そして、それは、書道が一日で習得できないように、そう簡単に習得できるものではありません。
長い時間をかけて、じっくりと取り組み、一歩一歩、歩を進めるような努力が必要です。現代人の私たちは、中学生くらいから、古文や漢文を学習しましたが、それが十分ではなかったことは、みなさん、実感されていると思います。そう、みんな同じようなわかりません。
そのこととで、「書道作品を観てもわからない」と、言ってしまうことは、非常に残念だと思います。
心眼で鑑賞することは、感受性とも関係し、頭で理解できることではないのかもしれません。子供なら情操教育とも関係するのかもしれません。
しかし、線の構成、その線のするどさ、やわらかさ、なめらかさ、そんなところを観るだけでも、書道作品を鑑賞していることを意味します。
何をもって、良いとされているのかを理解しようとするなら、良い作品を何度も繰り返し鑑賞するしかありません。その答えは、書道の場合、書道の古筆、古典と呼ばれる作品がたくさんあります。古筆、古典を何度も観ていると、書道作品を鑑賞する際の背景がわかります。それを、誤解を恐れず、もう少しわかりやすく言葉にすると、書道作品のモチーフとしている作品が何なのかがわかるということです。
ぜひ、一年を通じて、古筆や古典にふれ、書道作品鑑賞の練習にしてもらいたいと思います。