書の魅力・楽しさ書道について

きれいな字 上手な字

書の魅力・楽しさ
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誰でも、きれいな字、上手な字を書きたいと思いますよね(^▽^)/


しかし、それは、どんな字なのでしょうか???具体的にあなたが思い浮かべているきれいな字、上手な字は、他の誰かが思う字と同じだと思いますか???


先日、ある小学生とこんなやり取りをしました。その小学生は、約5年お稽古に通っています。すでに有段者なので、小学校でも字に関して高評価を得ていて、自信を持って、日頃からお稽古に取り組んでいます。

その小学生に、私は、展覧会用作品の添削中に、もう少し太く書くようにアドバイスしました。そうすると、その言葉に納得できなかったのでしょう。

「細い方がきれい」

普段、言葉をあまり発することがない小学生が珍しく言葉にしたので、その理由を聞くと、ぎゅっと口を一文字にしました。

私に言いたいけれど、言葉にならないのか、それとも、もっと異なる意見を持っているかの、そのどちらかであろうことは、想像がつきました。

私は、言葉で説明するより、見せることにしました。彼が書いたように半紙に書き、それよりも太く同じ文字を書き、小学生に示しました。

小学生は、それを見ても、まだ、納得できない様子だったので、少し言葉で、展覧会の性質、小学生の書道作品に求められている書美について、説明しました。

それでも、納得していない様子でしたが、いつもなら、説明のために書いた半紙を持って帰ろうとしないのに、その日ばかりは、説明した半紙を持って帰りたいと言いました。

いつも、淡々と努力するその小学生は、翌週のお稽古で、ここを太く書けないけれど、どうすればいいかと、質問があった。

上の説明の意味を理解したのだろうと思った。

時々、上達スピードが突然おそくなったり、停滞したり、全く違う方向へ努力する人がいます。遠回りして、あるべき姿になれば、今度は、一気に上達することがある。今井凌雪先生は、そのことを「ある日、突然、化ける」と、口にされていたことを思い出す。

狭義における書道では、ある日、突然、化けるまで、指導者は、見守る必要があるし、待つ他ないと思うことの方が多い。しかし、小中学生の書写の範囲では、化ける日を待つことは、今という時代の中で、あまりにも時間の無駄だと感じることの方が多い。だから、あれこれ、表現をかえながら、時には、様々な例示を見せて説明する。その時に、一番難しいことは、各御家庭ごとに、おうちの方々の字に対する美意識の相違がある。小中学生は、素直です。上達が早い小中学生は、中でも群を抜いて素直です。おうちの方の期待に答えたい一心で書道のお稽古をしています。

私は、くどいなーっと、感じながら、説明しています。本当は、じっくりと何枚も書き、経験を通じて発見し学び進めさせてあげたいと思いますが、今という時代の中では、浅く広い教養を身につけなければならない小中学生に、じっくりとした時間は、限られています。それも、時代だと、私は、いつも自分でこの少し寂しい気持ちにフタをするようにしています。いつか、本来の書道を学びたいと思ってくれれば、そんな時間を共にお稽古できるのかもしれません。


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