2月末のお稽古の帰り道、
「もしかしたら、コロナでこれが最後のお稽古かもよー」
と、私が言ったとき、
「それは、ないでしょう。そんなことあるんですかねー。」
と、君は、言った。
彼とリアルでの最後の会話です。
そして、そんなことになってしまいました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大。学校休業(授業お休み)、お稽古も一時お休み。
3月末のお稽古が終わったら、卒業祝いと就職祝いを兼ねて、食事でもしようと、約束していたのに、今も、その約束は果てせていません。
大学の卒業式がなくなったと、ちょうど稽古中に連絡が入り、落ち込んでいた彼に対して、私は、必死で言葉を見つけて励ましたが、あまりにも非現実的すぎて、私の言葉に心がこもっていただろうか・・・と、後になって反省した。
3月のお稽古中止連絡をしたときに、「入社式中止になりました」とLINEがきた。
その後、新入社員研修も中止になったこと、配属が決まったと知らせてくれた。
社会人としてのスタートを大変な状況でスタートしなければならない彼に、私は、内定取り消しより、ましだと思って、乗り切るしかないよって、言葉しか、掛けられなかった。
私も4月から、また、お稽古再開するし、これまでと全く違うことをしないといけないし、お互い頑張ろう・・・と。
それから、間もなくして、SOSのLINEが来た。
「もう、無理っす。」
真面目な彼は、臨機応変に捉えられないことが続き、新型コロナウイルス感染症対策の為、人との距離を置かねばならず、孤独感が半端ないようだった。
彼に限らず、新社会人は、たくさんいる。みんな同じような状況の中で、離職することなく、なんとか踏みとどまって欲しいと心から思う。
先日、その後を尋ねた。
彼から、
「何とかなってるんですかねー」
まぁ、何とか、踏みとどまっているようだ。
いつでも、SOSしておいでよー。
祈るような気持ちでいる。
この春、きょうほ書院には、小学校卒業、中学校卒業、大学卒業した人が在籍している。新中学生には、4月お稽古再開時に全員と会えたけれど、みんなまだ、卒業記念作品を仕上げられていない。
早く、仕上げられるといいのになーと、願っている。