書道鑑賞入門

爨宝子碑(さんぽうしひ)

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爨宝子碑(さんぽうしひ)は、大亨四年(西暦405年)に建てられたものです。
書道史に詳しい人は、楷書が完成されつつある時期だとわかるでしょう。

下 写真 二玄社 中国書法選 19より
sanpoushihi 

楷書が完成されようという時代に、
楷書の筆使いの基本である三過折法(さんかせつほう)を用いられていない爨宝子碑は、研究の対象としても興味深いものです。

三過折法(さんかせつほう)とは、多くの方がご存知の言葉にすれば、
トン・スー・トンのことで、
点画を三段階に分けて、筆を運ぶ要領を解く方法のことです。
三折法(さんせつほう)とも言います。

さて、上の写真を見て、みなさんは、爨宝子碑の書体は、何だと思われますか?
一般に、この爨宝子碑に対し、隷意を含んだ楷書と、言われます。

納得しがたい方が多いのは、トン・スー・トンで書かれていないからだと思います。

私は、この爨宝子碑が昔から好きで、楽しく何度も繰り返し鑑賞してきました。
書の基本的筆使いを知らない人が筆を運ぶと、
爨宝子碑のような初々しいぬくもりのある形と線を書くことが
よくあります。
特に、形を捉える要領を知らない子供たちに多くみられます。

爨宝子碑は、臨書の古典教材としてだけではなく、
私を初心に戻らせてくれる意味でも、
心踊らされる古典です。

 

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