智永(ちえい)は、王羲之(おうぎし)七世の孫にあたる。
眞草(以下 真草とする)とは、真書と草書のことで、真書とは、現在の楷書のこと。
千字文は、千文字を一字も重複することなく、四字一句、250句からなる四言古詩である。中国のみならず、朝鮮、日本においても、漢字学習や習字手本として、習われている。
今の日本の書写教育の毛筆文字を見慣れている方には、
あまり馴染みがなく、真草千字文を観て、感動するのは、難しいかもしれない。
私自身も、智永の真草千字文を理解できるまで、時間を要した。
王羲之の書をよく学ぶと、智永の書のすばらしさを理解できるだろうと思っている。
下図 新訂書の歴史(二玄社)より
左 真蹟本 右 関中本
智永は、30年をかけて、千字文を800本も書いた伝えられている。
30年という時間の中で、王羲之をよく学んでいる智永の書は、変化する。
真跡本(日本に伝わっている肉筆の千字文)と、
関中本(かんちゅうぼん)千字文を比べて、
想像したり、考えたりすることも、楽しいものです。