書道筆には、豊かな弾力があります。
それは、書道の表現力を豊かにする一因でもあります。
筆を持ちなれないうちは、その弾力に悩まされることでしょうが、
上達しても、筆の表現力は、無限のように広がりますから、
結局その悩みとは、長いお付き合いになります。
書道教室では、小さい子に弾力と言っても伝わらないので、
「バネ」「ぐにゅ」「ビョーン」などと表現しています。
先日、書道教室のお稽古中に、小さい子が、私の筆の穂をつまみ、こねまわしていました。彼の人差し指と親指は、爪の中まで真っ黒です。それは、それは、熱心に、考えながら、難しそうな顔をしていたので、止めることを躊躇してしまいそうでした。
大きい子が小さい子におふざけで口走った一言。
「先生の筆には、バネが入っているから、いっぱいビヨーンってなるんだよ」
それが原因で、小さい子は、信じて、私の筆の穂の仕組みを知ろうとしていたのです。
みんな同じ筆なのに・・・・・・・・・・。
大きい子の気持ちも、小さい子の気持ちもよくわかるので、
笑うしかありませんでした。
私にも経験がありますが、先生の筆は、
なぜ、そんなにのびやかなのだろう。
なぜ、あんなに弾力があるのだろう。
墨が減らないのは、どうしてだろう。
この疑問の答えの多くは、筆の弾力と関係があります。
筆を思い切って突っ込み、開いて書く。
言葉としては、こんな表現しかできません。
よく見て盗み取るしかないかもしれません。