高野切は、「こうやぎれ」と読みます。
こうやきり、こうやせつ、たかのきり、たかのせつ。
大体、このような読み間違いをされた方も少なくないでしょう。
高野山に伝えられた切(部分)だから、こうやぎれと読みます。
私にとって、高野切第三種は、はじめて習った仮名古筆であった為か、
仮名の中でも思い入れが比較的深いものです。
同じように、初めての古筆は高野切という方も少なくないでしょう。
もちろん、粘葉本または近衛本 和漢朗詠集という方も、おられるでしょう。
ともに、仮名の入口として、癖がなく最適な教本として知られています。
高野切第三種で特に習いたいのは、
なんといっても、直筆による素直でなめらかな線です。
穏やかで、上品な、美しい形ばかりが目に飛び込んでしまいがちですが、よく鑑賞すると、筆の弾力を生かしたリズムと墨の濃淡、墨つぎもよくわかります。
漢字書道とかな書道の大きな違いに料紙があります。
かな書道を鑑賞する際は、その料紙の美しさにも気を配りたいものです。
書道=日本の伝統と言っていまうことに、私自身戸惑いがないわけではありません。
しかし、かなの古筆を鑑賞する度に、日本の伝統と言いたくなる気持ちもよく理解できます。
なんとなく、背筋を伸ばし、しわのない真っ白な足袋が連想されるのは、私だけでしょうか。
まだ新しい香りがする畳とその足袋のすり音が、筆が紙の上を走る音と重なるように思います。
直筆(ちょくひつ)とは、筆を垂直にたてて、線の中心を穂先がすすむように書く、用筆法のことです。
ちなみに、直筆を「じきひつ」と読めば、自分が直接書いたもの、その筆跡という意味になります。
時には、いつもより、かしこまって、筆を運んでみると、
非日常の世界にいるようで、
心機一転してよいかもしれません。
今年最後の書道鑑賞入門の更新です。
あっという間の一年。
師走に入り何かと気忙しい日々が続きます。
今年中に取り組むべきはずの事柄に目を奪われる日々ですが、今年流行の「ありのままの~」なんて、鼻歌まじりで、年末まで、乗り切りたいものです。