お稽古をしていて、小学生が、突然、言った。
「うでが覚えたみたい。」
どうも思うように書けず、
怪訝な顔をしている小学生の腕をもち、
数文字いっしょに書いた。
その直後に書いた一枚で、その小学生の口から、
こぼれ出した一言。
それが、
「うでが覚えたみたい。」だった。
書道の技術の中には、
言葉で説明できないこと、
言葉で説明しても実感できないことが、
たくさんある。
だから、昔から、
「技術は、盗むものだ。」
と、言われるている。
それでも、小学生には、それすら難しいことも多い。
だから、ほんの少し、筆を持って、一緒に筆を運んでみる。
そうすると、
筆を持たれた側も、
腕から伝わる感覚、
思っていたより、違う筆の使い方を比較的容易に感じ取ることができる。
それを言葉に出来る小学生は、すごい。
私は、子供のころ、先生に一緒に筆を持ってもらい、
随分、助けられたが、それを言葉にすることは、出来なかった。
私にとっては、とても、新鮮な言葉をもらった気持ちでいる。