書道展というものは、出品者の誰にとっても、気恥ずかしいものです。
書道展でのあいさつ文にも書いた通り、きょうほ書院の天満・堀川教室、福島教室のみなさんの誰の作品にも、作品を仕上げるまでには、様々な物語がありました。
もういやや。
もう、書きたくない。
出来ひんもん。(出来ない)
目からこぼれ落ちそうなものを墨だらけの手でぬぐい、顔についた墨の跡に気がつかぬまま筆を運んだり。
あふれだした涙に戸惑ったり、必死でこらえたり。
ここは、うまくいったよ。
あぁあ、あかん。
溜め息。
一喜一憂。
美しさとは。芸術とは。書とは。自問自答。
そんな出品者の道程を観覧者の方々が汲み取って、ご覧いただきましたことを心より、感謝しています。
最終日には、表彰式を行いました。
私は、賞状の文言を考えているときから、ヤバイなぁと感じていたので、事前に何度も何度も一人で練習して、冷静にコメントをいうつもりでいました。しかし、実際は、みんなの頑張った姿を前に、賞状を読むことだけで精一杯で、ひとつのコメントも言葉にできませんでした。
何とか、優秀賞、秀作賞の賞状をお渡ししたものの、5年目表彰の賞状を読み上げることができませんでした。
入院退院を乗り越えて、頑張ってお稽古に通い5年という歳月の中で書道を通じて接してきた少女を前にして、
言葉がつまり、涙がこぼれ、どうしようもありませんでした。
申し訳なかったと反省しています。
少女から、「先生が泣くから、私も泣いちゃったじゃないですかー」と、クレーム?!
5年って短いようで長いですね、それだけで、いろいろな意味が伝わるものです。
来年は、もっと練習して、じょうずに読むようにしなければと思っていますが、かなり大きな課題で今のところ自信がありません。
今回の書道展は、たくさんの方々のご協力がなけば無事終えることができませんでした。
足元が悪い中、遠方より、たくさんの観覧者の方々に足をお運び頂きました。
会場の大阪市立総合生涯学習センターでは、空調があまりきかないトラブルがありましたが、センターの方々には、様々なご配慮を頂きました。
作品の表装に関し、書遊様、耕美堂 野口様にご協力いただきました。
搬入、搬出、受け付け会場当番に関し、出品者およびその保護者の方々、また先生方にご協力いただきました。
この書道展を通じて、心底まで染み渡る人の温かさ、ぬくもりを頂戴しました。
お陰様で、無事、書道展を終えることができました。
ここに、皆様から頂戴いたしましたご厚情に深謝いたします。