「年を重ねるにつれ、一年すぎるのが早くなるよ。」
いつだっか、誰かから聞いた。
今年は、もう半年が過ぎた。
驚くばかりだ。
お稽古に来られている人生の先達方に聞くところによれば、
そのうち、一年単位ではなく、五年単位、十年単位で、
時間が流れるという。
書を学ぶということは、あまり先を見すぎると途方に暮れることがある。
十分すぎる古典古筆、資料の数々。
たった一度すら目にしないままになってしまうものもあるだろう。
努めて、目にするように心がけても、難しそうだと思うや否や、
途方に暮れそうになる。
そんな時、ちょっと、別のものに気を向けてみたくなるのも正直なところ。しかし、そうしていても、やはり、どこかから書のことに結びつけて、書のことが頭をよぎる。
時々、なんでこんなことになってしまったのだろう。
もっと、他に興味を持てなかったのか。
過去を振り返るが、やはり、私にとって書は、大きな存在であったと確認する。
人生とは、選択を積み重ねたものだという。
確かに、そうかもしれない。
今年の上半期で選択したものも、いつか束になって積み重なり、ある時期がきたら、あーだ、こーだと、言ってみたくなるのだろう。