人は、誰でも、学習意欲の基礎に、「見たい」「さわりたい」「やってみたい」があると思います。
大人になると、だんだんひた隠し、人前でその欲求を満たすことが恥ずかしくなりますが、子供は、誰の前であろうと、「見たい」「さわりたい」「やってみたい」の三大欲求を満たすことに、驚くような集中力を発揮する。
書道のお稽古は、その三大欲求「見たい」「さわりたい」「やってみたい」を満たすもののようです。
書道道具が筆記具として、日常に利用されることがほとんどない現状では、書道道具をはじめて目にし、教室の中で、園児や小学生が使っている姿を目の当たりにすると、「見たい」「さわりたい」「やってみたい」を抑えられるはずもありません。
体を乗り出して、目を見開き、まばたきすることも忘れ、筆の動きを夢中で見る姿に接すると、私は、新しい扉を開く瞬間に立ち会えることを、うれしく思います。
数年して、慣れてきても、新しい筆の使い方を覚えて、うまく書けるようになってくると、更に、その興味関心が深まる姿を目にします。このあたりになってくると、子供も大人もあまり変わりありません。
今の季節は、暖房もあるけれど、書いていると体がぽかぽか温まり、熱いと感じることもありますね。
昨日のお稽古では、ランニングやTシャツ姿の小学生もいて、お迎えの保護者の方が驚いておられました。
実は、正しい姿勢を保たねば上手に楽に筆を運ぶことはできません。正しい姿勢を保つ、ただそれだけのことでも、かなりの筋肉を使います。文字を書くことで脳にも刺激が与えられます。そして、「見たい」「さわりたい」「やってみたい」が加わると、興奮が冷める暇がありません。
昨日のお稽古は、小さい子供が中心だったにも関わらず、年内最後でカレンダーの制作をしたものだから、全員が新しい体験で、こちらは、とてもとても大変でしたが、あんなに喜んで全員が全員筆を運ぶ姿は、圧巻でした。
楽しいカレンダーがたくさんできました。
いつか、皆さまにご覧いただく機会をつくれないだろうかと思っています。